どうもー.工場実習が長過ぎると愚痴りまくってた大手国内メーカー勤務のsitaです.
今回は国内メーカーの技術職の新入社員がよくやらされる工場実習について,主に学んだことと意識した方が良いと思ったことを紹介します.
本気で書くと死ぬほど長くなってしまうので,要点だけ書きました.
また,何が辛かったかなど単純な感想についても記事にしたので興味があれば是非~
工場実習をやる目的は最初に研修で言われる
まず始めに.
会社が新入社員にどんなことを学んで欲しいのか,目的を現場実習前の研修で言われると思います.
そのため「報告書で同期と差をつけてやるぜ」なんて思っている人は,実習前の説明で現場実習の目的や意図は何なのかを良く聞きましょう.
(会社によるけど、この報告書が本配属先の上司にちゃんと読まれる気はしないけど…)
そしてそれを意識しながら研修に臨むことで,短時間で完璧な報告書を書きましょう.
まぁ多分どこも「現場の生産性への意識」と「現場の安全対策」、「現場の方との人脈っくり」とかがメインで語られるんじゃないですかね…
工場実習ってテキトーに過ごしちゃダメなの?
実習に対する姿勢は現場の人に伝わる
「コイツ実習をテキトーに受けようとしているな」という姿勢は現場の人はすぐ察します.
テキトーな姿勢で接すると相手も対応がテキトーになります.そうすると,
- 本来教えようとしていたことを教えてもらえなくなる
- 人間関係が上手く築けなくて実習先でずっと居場所がない
- 今後関わるときに良い関係を持てない
という問題に直面する可能性があります.
これらを全く気にしないような,悪い意味でメンタル強い人はテキトーでも良いかも知れませんけどね.
実習中の態度は上司や人事に報告される
まぁ当然ですね.将来的な人員配置を考えるために社員は常に勤務態度を見られています.
現場実習で手を抜いたら,
- 与えられた仕事の意義や重要性を理解できない
- 言われた仕事を真面目にこなせない
- 周囲の作業員に不快感を与える
あなたはそういう社員なんだと思われてしまいます.
自職場に戻ったときに現場の実態を知りたくなる可能性は高い
僕はメカ設計なのでその視点で書きますけど,実際の組み立てがどのような作業環境でどのような手順で行われているのかというのは非常に重要な情報です.
また,ある形状の部品が「どのように加工されているのか」「どのくらい時間がかかっているのか」「どこが技術的に難しくてコスト増加につながっているのか」という情報もコストダウンを図る上で必要になってくるでしょう.
このような情報を実習期間で学べるかどうかが,将来自分が活躍できるか否かにかかっている...のかも知れません.
以上のような理由で僕個人としては真面目に取り組むことをオススメします.
工場実習で学んだこと
現場の作業性を考えた設計が価格低下のために重要
上にも書きましたけど,設計の人は現場での部品加工と組み立てのしやすさを考慮しないと高コスパな良い商品は作れません.
現場の作業性が悪いとリードタイムが長くなるだけではなく,作業のミスや事故の頻度も増加してしまって,コストが大きく変わってきてしまいます.
また,作業しやすいと品質も安定するため製品の不良率も下がります.
低価格で不良品が少ない神商品を生み出したい人は現場のことをできる限り多く学びましょう.
実物を見たり触ったりしないと作業性は分からない
特に設計業務を行う人は品質とコストの面から,作業性という概念から逃れることはできません.
その作業性に関してなのですが,図面と3Dモデルを見たときと,実際に見るのとで印象が全然違います.
僕の例ですと作業に登場する部品のほとんどを見たことも触ったことも無い状態で,作業性改善を目的とした簡単な装置を設計させられた経験がありました.
このとき部品の3Dモデルは全部見れたのですが,スケジュール的に自分の設計した装置をぶっつけ本番で使ってみるという状態でした.
つまり想像だけで頑張って作りました.
そして実際に自分が作った装置を使って自分で作業したとき,思ったより部品を動かすのが重くて調整が難しかったり,想像よりも手をいれるスペースが狭くて作業性が悪かったり,部品を入れるときに他部品とぶつかるのを防ぐのが大変だったりと反省点だらけでした.
やっぱり作業を実際にしたことがないと作業性を考えた設計なんて凡人にはできません.
もちろん想像だけで良いものが作れる勘も重要だと思いますが,その勘を養うためにも実物を見たり作業を実際に体験することは重要です.
営業・設計・生産・調達・市場対応,皆が仕事を押し付け合っている
製品を作って売るまでの過程には多くの部署が関わっています.
そしてどの部署も日々忙しくて仕事を減らすことに必死です.
そうなると担当部署が曖昧な仕事を如何に他部署に押し付けるのか必死になって考えます.
特に僕が出会った課長・部長クラスの人は部下が大好きな人が多かったので,自分の部下を守るために必死になって仕事を押し付けあっていました.
みんな良い人で互いに正義があって戦うとかフィクション作品なら大好物なんですけどね.現実でされたらただの地獄です.
「社会人になったら自分で仕事を取りに行く姿勢が重要」なんて話もありますが,自分で仕事を増やしたら死ぬ世界もあります.
自分の会社はどうなのか気を付けて観察してくださいね.
職場の人間関係は働く上でとにかく重要
後日別の記事で書きますが,僕の実習先は肉体的負担はとても少なかったのですが職場の人間関係に問題がありました.
簡単に言うとモラハラおじさんが居たのと,一部のおじさん達がギスギスしていました.
僕は直接的な被害はそんなに受けていなかったのですが,同じ職場にこのような人が居ると普通に精神的にダメージを受けます.
実習自体はそんなに辛くなかったのに朝出社するのがとても憂鬱でした.
何でも正直に意見を言うとやっぱり嫌がられる
定期的なレポートに「現場で気付いたこと,特に安全面について気付いたことがあったら何でもここに書いてね.」と職場長に言われたから,肺がんのリスクと失明のリスクについて書いたら呼び出されて書き換えさせられました.
正直現状でもかなり対策されていると思ったし,自分の書いた問題は簡単に対策できるし,隠すことないと思ったんですけどね.
さすが日本のコミュニティです.あの言葉は建前でしたね.
やっぱり「正直な意見を書いて欲しい」や「本当に何でも書いて良いよ」という言葉に騙されてはいけません.
特に「ずっと残ってしまう書類やファイルに書く」という行為では余計なことをしない方が良いです.
平穏な社会人ライフを過ごしたいなら,本当に素直なことを言ってよいのかよく吟味した方が良いですよ.
考えるのが面倒なら余計なことを言わない・書かないのが一番です.
学んで欲しいこと・意識して欲しいこと
現場の人がどこで苦労しているか知る
現場の作業者が苦労しているということは,その部分でリードタイム増加とエラー率の増加が発生しています.つまり,そこを改善できればコストと品質が改善されます.
現場の人の性格によっては愚痴を聞くのは苦痛かも知れませんが,どんな愚痴が出てきたかは将来役立つ可能性が高いです.
まぁ一社員の力でどうにかなることは少ないのが現実ですけどね…でも現状を知っていればあなたが改革を起こして大幅コストダウンする可能性は0じゃないですよ!
作業者がどこまで何を理解して作業をしているか質問で探る
作業者が何故その作業が必要なのか全然理解していないことが多かったです.面倒だから普段は省いているとか平然と言ってきた人もいました.
具体的にはバックラッシュの解消のために必要な作業をしていない作業者が多かったりして,「作業内容守ってから要求精度が厳し過ぎると愚痴って欲しいな」と何度も思いましたね.
あとは装置への負担を減らすために必要な作業を省いている人もいて,それで装置がすぐ壊れると愚痴っている人も居て…
あなたの会社で実際の作業者がどれくらい作業内容を理解しているのか,よく調査しておいた方が良いですよ.
現場の人と気兼ねなく意見交換できる仲を目指す
自職場に戻っても現場の人と頻繁に会ったり連絡し合ったりする可能性があります.上で書いたように設計側も現場の現状を知りたいですし現場側も設計の意図を知りたいのです.
実習先が自分と関係の深い場所であった場合は,現場の人と仲良くなった方が今後の仕事が楽に進められると思います.
また,親睦が深い方が相手が話してくれる内容も多くなると思うので,今後得られる情報量が全然違うと思います.
行動を起こす勇気を身に付ける
新入社員の実習ってまだ会社のこともよく分かっていないし知っている人が全然居ないのに,大卒・院卒にはアウェイな場所に連れてかれていく…
正直実習先では言われたこと以外のことを自発的にするのは勇気が要ることです.そんな中でどんな小さなことでも良いので何か現場に変化を起こしましょう.何か作業方法の改善案を提案してみたり,作業環境の改善に取り組んでみると良いでしょう.
現場から自分の配属先に戻っても,会社に新たな風を吹かすのは勇気がいることです.
この勇気が要る自分から変化を起こす経験をしたり癖を付けるためにも,メンタルヘルスに不安が無い人はこの機会にチャレンジすることをオススメします.
良い上司と嫌な上司にどんな違いがあるか考える
現場には出向で色んな場所を点々としていたり,ブラック企業巡りをしてきた地獄のような経歴を持つ人がいたりして,技術職とはベクトルの違うヤバい性格の人がいます.
そのため,それらの経験を基に良い上司になった人や,反対に芸術作品レベルで最悪な上司になった人に出会える可能性があります.
どんな点が良かったり悪かったりするのか具体的にこの機会に考えておくことをオススメします.大体の人は嫌でも上司になりますからね.
「○○さんみたいな上司になりたい」という想いだけでは曖昧過ぎてダメです.理想の上司にはなれません.人名は出さずに自分がどんな上司になりたいのかを今の内から考えておきましょう.「会社中の人に信頼されている上司」なんてものを目指すなら今から信頼を築く必要がありますね.
最後に
工場実習は無駄な時間のように感じる人も多いようですが,貴重な時間であるのは間違いありません.
何事もそうですが目的と意義をよく理解して有意義な時間を過ごしましょう.