どうもー.返済免除の審査を受けるための書類を書いたときにメチャクチャ後悔をしていたポッターです.
この記事では日本学生支援機構(以下、JASSO)の無利子の奨学金(第一種奨学金)を借りている大学院生で,「特に優れた業績による返還免除」を狙っている人に早めに知ってほしいことを書いておきます.
ただし,この記事には先輩や教授から聞いた噂話も含まれています.参考程度にしてください.
一部免除と全額免除がある
まず最初に知ってほしいことがこれ.僕は全額免除しかないと最初思っていたので狭き門だなぁ…って思っていたのですが,半額免除というパターンもあります.
後で基準の話をしますが,もちろん全額免除はかなり頑張る必要があります.
しかし,半額免除なら普通の人でも頑張れば狙えるレベルだと個人的に思います.
なので,特に無利子の第一種奨学金を借りることができた人であれば,返済免除は狙って手が届く可能性が十分高いです.
返済免除には大学内での審査とJASSOでの審査がある
返済免除の審査は主に2段階行われます.JASSOに推薦する人を選ぶ大学の審査と免除の有無と免除額を決めるJASSOでの審査の2段階です.
つまり,あなたがどの大学の院にいるかで,そもそもJASSOの審査に行けるかどうかが大きく左右されます.ここが大学によってはキツイんすよ…
免除の基準は大学によってバラバラ
国際ジャーナル論文(自分が筆頭著者)の本数でほぼ決まる大学あり
僕の居た大学がそうだと言われていました.年度によって申し込んだ人数と申し込んだ人のレベルが違うので,基準はかなり揺れているようです.基本的に「ファーストオーサーの国際ジャーナル論文1本で半額免除されるかも知れない,2本で半額免除は確実で運が良ければ全額免除,3本で全額免除は確実」という風に言われていました.
ジャーナル論文と修論を乗り越えた僕的には,頑張れば手が届くけどメチャクチャ辛いという印象です.研究の分野によっては常人には無理じゃないですかね…
免除になった先輩が簡単に取れると言っていたり,研究室が毎年たくさんの論文を出していても騙されちゃダメです.自分で書くとなるととにかく大変です.地獄です.やっとの思いで完成させても修士の学生レベルでは査読でボコボコにされて,修正とレスポンスレターで苦労させられます.
ジャーナル論文を書く大変さについて記事にしたので,興味あれば是非~
評価ポイントの総合得点で決まる大学もある
あと他の大学で聞いたことがある噂が,論文と学会とボランティアとTAと学内外の賞などそれぞれの実績に点数が付いていて,合計得点が高い方から推薦するというものです.ちなみに僕の大学でも申請書にはTAや学内外の賞,特許や発明など色んな項目が用意されていたので,多少は学会での発表状況も見られているようです.
なので,論文の本数だろうと総合得点だろうと,国際学会にはなるべく出てください.最低1回なるべく2回は発表者として出て欲しいですね.
特にこの記事の執筆時である2021年付近はコロナの影響で学会がほとんどオンライン開催になっていて,国際学会のハードルが非常に低くなっています(現地開催の場合は,飛行機乗って異国でホテル泊まって学会に参加するのでメチャクチャ緊張します).なので今は超チャンスだと思いますよ.
博士課程に行くなら確実にもらえるという話も聞く
あと,博士課程に進学する人は少し学会に出ていればジャーナル論文を書けていなくても全額免除になるという話をよく聞きました.今は経済状況的にどうなのか分かりませんが,僕の先輩が実際に論文0本で全額免除になりました.
なので,博士課程に進学する人はJASSOの奨学金に申し込んでおくと得する可能性が高いと思います.ただ,あなたが卒業する年もまだ博士進学の人が優遇されているか分かりません.よく検討して自己責任でお願いします.
研究室選びから勝負が始まっている
もう既に入学して,研究室に所属している人はごめんなさい.でも,研究室選びが非常に重要です.
何故なら筆頭著者で論文を書くと非常に有利になるからです.
しかし,英語のジャーナル論文を筆頭著者で修士の学生の内に書けるような研究室は非常に少ないです.
なので,将来的に奨学金の免除を狙うという人は研究室選びの時点で,その研究室からどれくらい国際ジャーナル論文が出ているのかをよく確認しましょう.
また,免除基準の情報を頑張って集めて,大学を選ぶのも手だと思います.
ジャーナル論文はとにかく早く出すこと!
論文の必要本数について書きましたが,「書類申請時にアクセプトされていて,審査時に掲載が決定されている」状態じゃないと免除の審査でカウントされません.つまり,修論後に急いで書くとかは当然アウトです.
また,論文って査読があって,査読結果に対してレスポンスレターを書いたり論文の修正をしたりしてようやく掲載されます.つまり,論文を書く時間も含めてメチャクチャ時間がかかります.僕が唯一書いたジャーナル論文は最初に提出してから掲載されるまで半年以上かかっていますし,分野やジャーナルによってはもっとかかります.
そして,英語で論文を書くわけなので当然書くのにも凄い時間がかかります.日本語でも査読付き論文って凄い難しいのに,英語なので初版は一ヵ月とか普通にかかります.
具体的には,卒業までに1本だけジャーナル論文を書くつもりでも,M2の前半には書き始めないとキツイです.
もちろん教授と相談して,査読が早いジャーナルに出すという手もありますが,インパクトファクターが最低限あって査読が早いジャーナルって中々ありませんし,要求レベルが修士の学生にとっては高い可能性があります.
僕も含めて周りでは大学院入学時に「3本書いて全額免除してやるぞー」と意気込んでいましたが,メチャクチャ難しいですよ.修論の時点で普通に書くの大変ですし,学会も最低限は出ていないと論文書いてても免除の審査で通らない可能性もありますし…
つまり,返済免除を狙っている人は周りの目を気にせず,とにかく研究を早く進めてください.けれど雑になってはいけません.雑に研究を進めるとむしろ何も成果を得られない可能性が高いです.丁寧に,でも常に急いで研究を進めましょう.
研究テーマや内容は適度に攻めたものにしよう
個人的にはテーマはある程度チャレンジングなことにした方が良いです.早く論文を書くことばかり考えて無難な内容にしようとして新規性ゼロになったという苦い経験があります.反対にチャレンジング過ぎても修士の学生には厳しいんですけどね.
研究内容が誰が見ても面白いものだったら例え結果の総量が少なくても理想よりショボい結果しかなくても,完全に新規性と言い張れる結果の量が多くなるはずです.新規性が強ければ多少短くなってしまっても最低限のIF(インパクトファクター)のジャーナルには通ると思います.
反対に頑張って説明しないと新規性が伝わらないような研究って,論文化する上で求められる結果の量が凄い多いですし,考察も今まで出た論文よりもかなり深いところまで考察しないと掲載されません.IF低いところなら簡単に載っちゃうかも知れませんが…
自分の大学で情報収集することがとにかく大事
判断基準が分からなければ間違った方向に努力をしてしまう可能性があります.必ず過去にJASSOの免除申請を行った先輩に,どのような業績を書かされたかを聞きましょう.もし先輩が持っていたら申請用紙を見せてもらいましょう.
そして,自分の大学が論文の本数なのか,成果の総合点なのか,または違う基準があるのか,情報収集はとにかく早く行いましょう.
僕は何となくしか知らない状態で過ごして,免除申請の書類を書くときにメチャクチャ後悔しました.まだ,審査結果は来ていませんが,多分免除されないと思います…
―追記(2021/06/16)―
論文くらいしか業績ないのに学内審査が通っていました!JASSOの審査待ち中です.
1本だけ書いた論文のインパクトファクターが高かったからだと思います.インパクトファクター超大事です.
―追記(2021/07/31)―
JASSOの審査結果が先日届き,返済の半額免除になりました!
業績の数は少なかったのですが,やっぱり自分が筆頭著者の国際ジャーナル論文は1本でも強いみたいです.
最後に
日本学生支援機構の奨学金の返済免除は,予め審査基準を知ることができれば目的に対して間違った努力をせずに済みます.
この記事を読んでくれた皆さんが僕みたいに後悔しないことを祈っています.